第十二章
地上では激しい攻防戦が繰り広げられていた。
ダークシャドウの拘束を抜けて反撃を仕掛けるフォーエス部隊だったが数には勝らない。何せ一人に対して二人三人が掛かるのだから回避に専念するのが精一杯だ。それでも攻撃を見切り受け流す能力は単なる戦士とは異なる。
細々とした攻撃であれ確実にダメージを与えることで囲うダークシャドウの体力をじわじわと削っていく──その中でルーティを筆頭としたX部隊が攻撃を食い止めるべくして飛び込むのだから戦況は容赦なく掻き乱される。
「チッ」
舌を打つウルフに振り返れば丁度反射板を展開させて光線弾を跳ね返すところだった。ダークシャドウにマークされる中で此方の隙も窺っているとは感心にも似たものを覚えるが気を取られている場合ではない──案の定気付いた時にはロックマンの接近を許してしまい回し蹴りが二回に渡って飛んできた。呼吸を整える間すら与えず身を屈めたかと思えば拳の突き上げ──
「、!」
黒い雷撃がロックマンを突き飛ばした。ぱっと振り返るとスピカが構えている。助けてくれたなどといった感動的な話ではなく閃光迸る次の攻撃は自分へと向けられる。ルーティは同じく青の閃光を滾らせると両手を突き出して。
「ボルガノン!」
はっと目を開いて攻撃を中断、飛び退けば既の所でルフレの魔法による燃え滾る炎の柱を回避することができた。こうも目まぐるしい戦況の変化では自分の果たすべき目的を忘れてしまいそうになる。顔を顰めるルーティは回避の先で砂利を踏み込むと力強く蹴り出して。
「──ロックマン!」