第十二章



「みっともないなぁ」

影が差す。

「……言っただろ」

ルーティは声の先に視線を向ける。

「僕が居なきゃ無理だって」


空が穴開き赤黒い不気味な光を帯びた槍が魔方陣に突き刺さる。幾つものそれは魔方陣のみに狙いを定められ一瞬にして双方共に消滅する。

「クレイジー!」

ルーティは思わず名前を叫んだ。

「正義だとか平和だとか謳ってる連中が随分と卑劣な真似をするものだね」

見下しを受けても尚ロックマンは黙っている。

「ま、いいけど」

クレイジーは息をついて指を鳴らす。

「本当の外道を教えてやるよ」


ぞわりと。

肌の表面を空気が這う感覚。


「……!」

異変──行動を起こそうにも身動きが取れず、ロックマンは足下を見る。陽の光によって生み出された影が黒く落とされている他に変化など──そう思ったのも束の間影の中で見開かれた赤い双眸と目が合ってぞくりとした。

「けけけけけ……」


まさか。──いつの間に。

自分たちの影の中にダークシャドウが──!?


「種も仕掛けも教える義理はねえ」

誰の影の中から現れたのか見当もつかない──現れたスピカは僅かに黒い靄を纏わせて標的の彼らを冷たく見据える。

「──殲滅しろ!」
 
 
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