第十二章



一閃。──紫色の光を纏う矢を躱して構える。
視線の先ではブラピが次の攻撃を仕掛けるべく弓を構えていた。とはいえ其方に気を取られてばかりいられるはずもなく地上からは光線銃による光線弾が猛威を振るう。

「ネロ!」
「そう何度も呼ぶな!」

手筈通りに──ネロは肺を満杯にする勢いで大きく息を吸い込むと地上のシラヌイとモウカ目掛けて炎を噴き出した。草地とだけあって炎は地上に到達すると瞬く間に燃え広がり回避したシラヌイとモウカは炎に阻まれてしまう。だが彼らがそこで詰むはずもなく続けて印を結んだミカゲが地面を平手で突くと、信じ難いことに幾つもの水が勢いよく噴き出して。

「ッ、!」

翼を矢が掠めた。痛みを覚えて振り向けばパルテナが喚び出した魔方陣が攻撃を放った正体であるらしくネロはすかさず回避体勢に入る。

右へ左へ。光の矢を躱し続けるが休む間も無く地上からはルフレとマークの魔法による攻撃が撃ち落とすべく飛んでくる。最中、視界の端で物体を捉え反射的に振り向けばロゼッタが指揮するチコが突撃してくるところだった。

舌打ちをして回避、直ぐさま折り返し突撃してきたところを腕を構えて防御した後踵落としをお見舞いする。小さな鳴き声を上げて墜落する様は心が痛むものがあったが、曲がりなりにも
あれは敵の操っているものである。

慈悲など。

「チッ」

いつの間にやらブラピに距離を詰められ双剣の捌きを回避する。ちらりと地上を見下ろしたがまだ目的のものが特定できない。半ば苛立ちを覚えながら腕を一度交差させて接近しつつ双剣をそれぞれ左右に薙ぎ払う攻撃をネロは後方に素早く飛んで躱すと空を蹴って急降下。

「逃がしませんよ」

パルテナが鋭く捉えた。そうして杖を掲げれば天空に金色の魔方陣が大きく浮かび上がる。

「っ……」

地上に到達。途端にカムイとカンナが接近して交互に斬りかかるのだから決して多くはない人数で組まれた部隊とは一概に言っても連携がよく取れていて侮れない。しかし此方だって考えなしに逃げ回っているのではないのだ。

「──見つけた!」
 
 
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