第十二章



……大丈夫。

胸に手を置いて言い聞かせる。

「ルーティ殿」

はたと顔を上げる。

「あまり気に病まないように」

声を掛けてきたのはリオンだった。

不可視であるはずの渦巻く不安も彼の双眸には鮮明に映し出されるのだろう。リーダーでありながら不安を煽るような思考さえ包み隠さないとはどうにも申し訳の立たないことだ。

「、!」

煙草の匂いに振り向けば。

「ウルフ」

名前を呼ぶ。

「どこに行ってたのさ」
「一服するのに場所なんざ教えるか」

いつもの調子を崩さない彼に安心感を覚えた。纏う空気が僅か和らぐのを感じたのかリオンも小さく笑みをこぼして視線を外す。

「随分と小部隊だな」

頭上の空は青く澄み渡っていた。空気を読めと言うのではないがこういう事態の場合通常曇りがかった空であるのが殆どなのではないか。

諦めかけた瞬間に転機。雲間から光が射し込み晴れ渡る。長年植え付けられてきたイメージが頭から離れない。それともこれはポジティブに勝利が約束されたものと捉えるべきなのか。

「揃ったみたいだな」

フォックスは辺りを見回して。

「行こう」
 
 
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