第十二章
刻む、刻む。針の音。
定められた運命が混ざり合う。
僕たちは。私たちは。
「……兄さん」
支度を終えた少女は問う。
「私たち、どうしてこんなこと」
何かのために。
「……思い出せないの」
ぽかりと穴をあけてしまったかのように。
埋める術はなく、淡々と。
「時間だね」
ぽつりと呟いて時計を見上げた。
立ち上がる兄を追って少女も扉へ向かう。
「……怖いのかい?」
兄は笑った。
「何も心配することはないよ」
行こう、と囁いて部屋を後にする。
僕たちは歩むだけ。
ただひたすらに。望まれるままに。
己が正義が砕かれるまで。