第十二章



今。チームを分散させたら。


彼らを──

フォーエス部隊を止められなくなる!


「くそっ!」

思いもよらないアクシデントに表情を歪ませたドンキーが後ろ手で壁を叩く。

「こりゃ最高の一日になりそうだぜ」
「演技でもないことを言うんじゃない」

ロイは腕を組んで眉を寄せる。

「それにしても──宗教団体なんて片っ端から潰すような連中だろ? なのにこれだけ大事になるなんて撃ち漏らしすぎじゃないか?」

ルーティは暫く黙り込んでいたが。

「……わざと」

自分で呟いてはっとした。

「まさか」


──熱心なことだ。


宗教団体の演説を彼は否定しなかったどころか拍手を打った。あの時はマスターハンドとクレイジーハンドによって無惨にも叩き伏せられ、頑なに揺らがなかった鋼の意志さえ折られてしまったが故声を上げる気にもならなかったものだと思っていたのだが。

もし。

こうなる未来を見越した上で。


敢えて見逃していたのだとしたら──?


「なるほど」

フォックスは合点がいった様子で。

「確かに。同じ行動を起こした方が同じ未来を辿る確率も高くなる」

ユウがそう語るということは此方の思い込みという話でもないのだろう。

「せっかく朝から珍しく中華にしたのに」
「僕はステーキにしましたよぉ」
「馬鹿の考えることは同じと言いますからね」

辛辣。
 
 
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