第十二章



チームを引っ張っていくはずのリーダーである自分がそんなことを考えてどうするのか。

朝食を受け取って席に着いたところで冷めないうちに頂く。お椀の蓋を開けば味噌汁の匂いに不安も解消された。そのままひと口頂いてから焼き鮭や白ご飯を口に運ぶ。

そうだ。

何でもない明日を守るために戦うんだ。


明日は何をしようかな、とか。

いつか、あの場所へ行ってみたいねとか。


何気なく口にする未来への思いを。

変わらず導くために。


「ふー」

腹を満たせてしまえば昨夜から抱えていた不安など気にならなくなってしまっていた。単純な性質である自分自身に感謝しつつ結局最後まで見かけなかったパートナーを探すべく席を立ち上がったその時である。

「──皆っ!」

慌ただしく駆け込んできたのは。


『繰り返します』

息を呑んで目を見張る。


『レイアーゼ都内を含む各地で宗教団体による激しい内乱が起こっております。これを受けて政府は第一級任務に指定すると同時に全正義部隊を出動させるとの方針を明らかにしました』


深刻そうな顔で語るニュースキャスターの横に映し出されたウィンドウの中では確かに人々の争っている様子が生中継されている。

「なんで」

誰かが小さく呟いた。

「止めなきゃ」

そんなことは分かっているのに。
 
 
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