第十二章



朝。小鳥の囀り。

ぱちりと目を覚ます。こんな状況下で一睡も出来るはずがないと思っていたが疲れが溜まっていた所為か熟睡してしまっていたようで。

約束の時刻は正午という話だったが枕元の携帯を手繰り寄せて見てみれば今はまだ朝の六時を過ぎたばかり。向かいのベッドで眠っている筈のパートナーは案の定姿が見えない。作戦会議に参加するような人ではないしこの世界が最期かもしれない日に一服しているのだろうが。

「、っ」

体を起こした後両腕を振り上げて伸ばす。

ルーティは布団を捲って床に足を下ろすと立ち上がりクローゼットへ向かった。……


「おはようございます」

着替えを終えたルーティが食堂へと向かうと、食欲をそそる朝食の匂いが彼方此方から漂ってきた。こうなると今まで黙っていたはずの腹の虫が今にも鳴き出しそうに疼いてしまい挨拶を投げかけてきたゼルダに聞こえないようにと曖昧に笑って返しながら適度な距離を取る。

「しっかり食べなくちゃ駄目よ」

此方に気付いて厨房の奥から出てきたピーチがタオルで手を拭いながら注意を促す。

「ま、残したら僕が食べてあげるけどね」

ちょっとだけびっくりした。

「よく眠れた?」
「うん。おはようカービィ」
「おはよー」

カービィはせせら笑う。

「今日はリンク達の稽古見に行かないの?」
「いつでも見れるからねぇ」

彼は当たり前のようにそう言ったが。


明日。明後日。

いつもと変わらない優しい日常が。未来が。


本当にやってくるのだろうか、なんて。


「ルーティ」

はっと我に返る。

「冷めないうちにどうぞ」
 
 
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