第十二章



スピカは慌てて、

「おまっ声がでかいだろ!」
「だ、だだ、だって」


知らなかった。


「あっ」

ふと、ルーティは我に返る。

「スピカも知らなかったんだよね」
「よく分かったな」
「知ってたらもっと早く会ってたでしょ」

スピカは、まあ、と吃るように言った。

「いつ会ったの?」
「お前と喧嘩したその翌日だよ」
「喧嘩にしては痛かったかも」

一瞬視線が刺さったが直ぐに背けられた。

「……あの日」


思い返す。

実の父親が第四正義部隊フォーエス部隊の管理下を務めていると知ったのは事件を終えて間もなくのこと。身勝手かもしれないがそれでも、理解のある人だと信じていたのだ。


「どうして止めなかった」

構わず胸ぐらに掴みかかる。

「なら聞くが何を止めようと言うんだ」

くっと顔を顰める。

「あんたがそんな人だったとはな」
「何を想像していたのか知らないが」

その人は冷めた目で見下しながら。

「守れない運命だった。それだけだろう」
 
 
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