第十二章
「ルー」
呼び止められたのは。
「……スピカ」
とぼとぼと通路を歩いて。部屋に戻ろうとしたその時だった。
「ど、どうしたの?」
互いにパートナーが側に居ない状況で。何よりこんな時だからと理由のつく今ならば何を話に持ち出されても心の構えは出来ているのだが。
「ちょっと話さないか?」
夜風に当たりながら、と言いたいところだったがエントランスホールにまだ何人か残っているその可能性も踏まえて自室の扉すぐ横の壁にお互い背中を預けながら話すことにした。
ちらりと様子を窺ったがきっと彼も眠れないのだろう。明日の正午には全ての決着がつこうというのだから無理もない。もしかしたら今まで守ってきた何もかも全て失われてしまう可能性だってあるのだ。クレイジー曰く最善を選び取れとはつまりそういった最悪の事態にならないように未来を変えろという話なのだろうけど、
「父さんと会ったんだ」
……へ?
「メヌエルまで戻ったの?」
「んなわけないだろ。司令塔だよ」
ルーティがきょとんとしていると。
「……お前」
スピカは半ば呆れ気味に。
「俺の父さんが第四正義部隊管理下だってこと知らねえのか?」
えっ?
「ええぇええええっ!?」