第十二章
誰もがはっと目を開いた。
「何度も何度も軌道変更させることになるかもしれない。お前たちはその分岐点に差し掛かる都度最善を選び取ってもらう」
一体どんな戦いになるのか見当もつかない。
それでも、僕たちは。
「講習会終わり。僕は休ませてもらうから」
それまでの重苦しい空気から一転、ぱっと切り替えてクレイジーは背中を向けると階段を上り二階の通路へ消えてしまった。
「身構えた割にはあっさり終わるかもよ」
「それが一番なんだがな」
小さく笑うカービィにメタナイトが息をつく。
「というか何処で休むつもりなんだろ」
ざわざわ。ざわざわ、と。
普段の色が戻ってきても尚ルーティは心ここに非ずといった様子で何処でもない虚空に視線を預けながら思考を巡らせていた。
「ルーティ」
フォックスが声をかける。
「お腹すいてないか?」
「えっ?」
深夜だったような。
「こんな時だからこそですよぉ」
ひょいと横から覗き込むようにしてヨッシーが笑いかける。多分実際のところはギリギリまで作戦を立てようという話なのだろうが。
「僕はお腹いっぱいだから」
「そっか」
そう返した彼の目が、何処か憂いを帯びていたのは気のせいではなかっただろう。
「おやすみ」
ぽす、と乗せられた手のひらの温もりを。
僕は護れるだろうか、と。
想いながら。……