第十二章



「兄ちゃんのあほ!」
「ああも、悪かったって」

二番目の事件の際は駆けつけたメンバー全員が計画について把握していた。

ユウがシュルクを殺害したかのように全員が振舞っていたのも全てはダークシャドウが計画を明かしたことを悟らせず騙眩かすための演技。案の定自分たちの計画が順調に進んでいるものだと思い込んだフォーエス部隊は誘い出すべく意図的に起こした三番目の事件にまんまと釣られて表舞台に出てきてくれた。

「痛かったよ。アレ」
「それを覚悟の上でだろ?」

後のことは簡単な話。

思惑通りにチームが分断されてしまえば目的を達成させるため元DX部隊サイドのメンバーは監視の対象から外れる。演技は演技といっても心は痛ましいが彼らを油断させるべく、分断を受け入れたフォックス達は現在状況をウルフを筆頭にしたメンバーから合間に窺いながら──彼らがルーティを手に掛けようと動き出した、そのタイミングで参じたのだ。

「どうせならもっとはやく来いよな」
「それは出来ない」

ネスのぼやきにユウは首を横に振った。

「未来を変える為にはギリギリまで引きつけてから軌道変更させる必要性がある」
「──そのとおり」

靴音が響く。

「未来は変えられないってのは事実だよ」

エントランスホール。壁際に沿って設けられた二階への階段から降りてくる。

「その逆も然り」

ルーティは驚きのあまり目を開いた。

「く、……クレイジー……!?」
 
 
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