第十二章
◆第十二章『絶望なんかしない』
ばたん、と。扉が閉まる。
「……皆」
口を開いたが刹那。
「ばかーっ!」
開口一番。いや二番。
「ばかばかばかばかばか!」
と。繰り返し胸を叩くが痛くはない。
「おにぃのばか!」
ピチカは泣き腫らした顔を上げた。
「心配したんだからね!」
あわわ……
「なにうちの妹泣かせてんだよ」
シスコンが現れた。
「妙なナレーションぶら下げんな!」
「き、聞こえてたんだ」
思わず苦笑いを浮かべる。
「いつもいつも肝心の僕たちには内緒で勝手に決めちゃって」
ぽろぽろと涙を零しながら。
「本当の本当にパートナーもばらばらになって解散しちゃうのかと思ったんだからね──!」
何処から説明するべきか。
実は──元DX部隊メンバーと極小数のX部隊メンバーは、ダークシャドウを利用したフォーエス部隊の企みに気付いていたらしい。それというのも最初の事件の時点で一部のメンバーが疑っていたところ二番目の事件が起こる直前に現れたダークシャドウが今度の計画について事細かに打ち明けてくれたのだ。
彼らも被害者なのに。
計画について洩らせば自分たちは疎か敬愛するスピカの身に何があるかも分からないのに。
それだけのリスクを背負っても尚。
許せなかったのだろう。
自らの手で仲間を犠牲にする苦痛も罪悪感も。
計り知れないものだっただろうから。