第二章-前編-
「ど、どちらさま……」
本当に遠慮がちにそろそろと近付いて、ロイが訊いた。
「アリティアの再興を図っていた時に知恵を借りた人たちでね」
カービィはじろりと見た。
「へぇ……偉いの?」
「まさか」
「僕たちは……何というか、ただの軍師だよ」
「グンシ?」
そのまま視線をマルスに寄越して、
「説明プリーズ。出来れば五十文字以内で」
「わかんむりに車の軍に、師匠の師」
「後はググれって?」
普段ならここで火花散る散る睨み合い、といったところだが、人前だからかつんとして虚空に目を背けるマルス。カービィは頬に青筋を浮かべて。
「……軍師とは、軍中において軍を指揮する君主や将軍の戦略指揮を助ける職務を務める人のことですよ」
見兼ねたリンクが背中に背負った鞘に剣を戻して答えた。
「参謀、とも言いますね」
「あっ時代劇で見たことある……ほら、お代官様の傍にいて、『お主も悪よのう』『お代官様ほどでは』ってやつ」
「あれは越後屋ですよ」
恥ずかしいやつ。
マルスは固く目を瞑って顔を赤く染めながら、握った拳をわなわなと震わせた。