第十一章



……彼だけではなかった。

フォックスを筆頭にぞろぞろと──顔見知りのメンバーが現れて。ルーティは暫く黙ったままだったがふとウルフを見上げた。ちらりと一瞬視線を返されたが無言。知らせたのは十中八九彼だろう。何の意図があるかは直ぐに分かる。

「多勢に無勢がなんだって?」
「やめてくれ。俺たちは争うつもりはない」

煽るカービィを嗜めるフォックス。

「君たちも此方に手を上げないでくれ」
「誠意を示していただきたいな」

その言葉にフォックスは素直に銃を下ろす。

「……応じよう」


分断されたはずの元DX部隊の参入ともなれば流石のフォーエス部隊も大人しかった。色々と問い質したいことはあるが余計な口を挟むべきではない──ルーティは正面に向き直る。

「君たちの統領と話をしたい」

あくまでも慎重に。

「いるんだろ?」

フォックスはゆっくりと語りかける。

「──ベンゼル」


ぞわりと。背筋を這い上がる。


「気付いておられたか」

靴音を響かせて。

「はてさて」

暗闇の中から現れる。

「──何処までが脚本シナリオだったかな?」
 
 
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