第十一章
「……どれだけ数を揃えたところで」
不意に口は開かれて。
「こういうの」
一転、空気が張り詰める。
「多勢に無勢って言うんじゃない」
そう──忘れるべきではない。どれだけ優勢と見えたところで結局のところは彼の言葉の通りあちらの方が数が勝っているのだ。
「そいつはどうだろうな」
一方でスピカもこのまま背を向けて撤退というつもりはないらしい。ただひとつの目的の為に絶対に逆らえない状況を作り出し、挙句ダークシャドウに同胞を殺させたのが彼らフォーエス部隊。勝算はないにしても簡単にはこの状況が不利であることを悟らせたくはないのだろう。
気持ちを汲み取るならば。
ここで戦うべきなんだろうけど──
「やれやれ。安い挑発に乗せられるようでは長生きしないだろうな」
呆れた視線を投げかけるロックマンに。
「……言ってろ」
スピカは鋭く睨み付ける。
「直ぐにその喉笛かっ裂いて黙らせてやるよ」
空気が淀む。
「──そこまでだ」
ぎくりと肩を跳ねた。
ロックマン含む対岸の彼らも注目を送る。ゆっくりと振り向いたルーティも今度ばかりはその人たちの参入を全く予想などしていなかった。
「ふ、」
銃を構えたその人の名前を呟く。
「フォックス……」