第十一章
──ぐらり、地面が揺れた。
「正義と悪は時として紙一重だ」
足下に金色の魔方陣が浮かび上がる。
「であれば」
急ぎ駆け出すも虚しく阻むように魔方陣の円に沿って光の格子が天へ伸びて。
「正義が悪のような行ないをしたところで」
そして完成する。
「何も可笑しなことなどないだろう?」
──巨大な光の鳥籠が。
「無駄ですよ」
パルテナは杖の柄で地面をとんと叩く。
「これは電気を吸収する檻です」
質問を投げかけて長く話し込んでいたのは詠唱から発動までの時間を稼ぐ為だったのか。
確かに電撃を放とうと試みても閃光が頼りなく跳ねる一方で例えるならば栓を抜いた洗面器に水を溜めようとしているような感覚。
「ルー」
冷や汗が垂れる。
「万事休すといったところかな?」
と。──天井に浮かび上がったのは先程と対照的に黒い魔方陣だった。目を見張れば蒼い光がぽつぽつと灯り程なくそれは光の矢を象る。
「冥界送りだ」
「知り合いがいるんですよ」
ブラピに続けてパルテナが笑う。
「伝えておきますね?」