第十一章
回想を終えて時間は巻き戻り──現在。
「そういうことだ」
「……理解が出来ないな」
その頃には既に立ち上がっていたロックマンは口端に滲んだ血を手の甲で拭って。
「入れ替わることで得られるメリットなど」
「だろうな」
スピカは笑う。
「どうせ入れ替わったところでその間ターゲットが変わるだけの話だ。──けど。あいつには真実と向き合う時間が必要だったんだよ」
暗闇の中に揺れる影。
「そうだよな?」
程なく攻撃は放たれる。
「ルー」
次の瞬間。スピカの背後にあった両開きの扉を青い電撃が突き破った。それは曲解しながら、今まさにスピカを撃とうと向かっていた金色の雷を押し留めて──程なく爆発。立ち込める砂塵の中影を見落とさず刹那振るわれた攻撃を電気を纏った腕で受け止めたのち弾き返す。
「っ、ルーティ・フォン……!」
迸る閃光を払うように腕を打ち払う。
青の双眸が開かれて。金色の髪が揺らめく。
「お待たせ。……スピカ」