第二章-前編-
おいおい。大丈夫か、この人。
「隊長……」
すぐ傍らのローブの少女が恥ずかしげに呼んだ。
「どうりで歓迎されたムードでないわけだな」
少年はというと気にも咎めずにこにこと笑っている。
「……ん?」
その様子を素振りの手を止めて眺めていたマルスが目を丸くした。
「君たちは……」
声に反応してローブの少女、その隣のよく似たローブの少年がぱっと顔を上げた。
そして。
「マルス王子!」
……まるで子供が人混みの中から親を見つけたかのような。ぱあっと顔を輝かせて声を揃え、飛び出す。マルスも数歩、進み出て二人を迎えた。
「ご無沙汰しております!」
「ふふ、相変わらず似ているね」
マルスは剣を仕舞いつつそう言って笑いかける。
「よく言われます」
ローブの少年が返して、笑みをこぼした。