第十一章
──数ヶ月前。
「話ってのは何だよ」
亜空間。黒塗りの研究施設。
壁燭台の火の明かりがぼんやりと灯しだす王の間とも言えようその場所で任務報告の後の事。他のダークシャドウ達は退室を命じられ、一人取り残される形となったスピカは、腕を組んで主らに問いを投げかける。
「そう警戒しないでよ」
「いつも頑張ってくれているお前に俺たちからプレゼントを差し上げようと思ってな」
「……はぁ?」
気味の悪い言い回しに思わずそんな声も出る。
「んな胡散臭いもん、誰が──」
ぱちん、と指を鳴らす音。
次の瞬間スピカの目の前に青白い光の球が生成されたかと思うと程なく光が消失すると同時に黒いアクセサリーが手の中に受け止められた。
「……何だよこれ」
「首輪だ」
……。
「失礼しちゃうなー。僕たち健全だろ?」
「どの口が物を言うんだ」
スピカはすかさず返す。
「安心しろ。悪い代物じゃない」
マスターは頬杖を付きながら笑み。
「お前だって"ダークシャドウ"だろう?」