第十一章
無垢なる器。運命に縛り付けられた礎。
「、ぐ」
必然だったのだろう。己の運命を未来を変えるべく神に抗う彼らが創造神を手に掛けてまで、望むべき未来に固執しているのは。
「はははは! いい顔をするじゃないか」
武器を持たない自分が剣と対等にやり合うには身体に電気を纏う他にない。けれど二人も相手では距離を置くなどして蓄電するなどといった行為も許されない。次第に息は上がり、動きも鈍ると途端に剣先が横腹を掠めた。
痛みに歪んだ顔は大層お気に召したらしく彼は笑った。彼、というよりは恐らくその中に潜む邪悪な竜がそれを笑ったのだろうが──
「──ッッか……」
鈍い音が。頭の奥にまで響いた。
死角から背中を深く貫いたのは神剣モナドの青白い光を放つビーム。人を斬らないはずである剣が少年の皮膚を肉を破いて赤に照る。
「これが」
双眸を紅く染めたその人は一旦剣を抜き取るとよろけた身体に向かって再度振りかざす。
「因果の流れだ」
運命。未来。
「──!」
きっと睨みつけて雷撃を放つ。既の所でシュルクを吹き飛ばしたところで続けざま地面に向かって雷を放ち上昇。目で追えてない隙に今度は天井に向かって雷を放出──急降下をしながらマークの背に踵落としをお見舞いする。
「っは……」
壁に叩きつけられるシュルクと地面に叩きつけられるマーク。その両方の姿が砂煙に巻かれて窺えないまま地面に着地する。どくどくと血が溢れて止まらないが傷を塞ぐ手段もない。
医術は履修しておくべきだったか──