第十一章
「──その覚悟は評価しよう」
火花の弾けるような音に気付いて顔を上げるとその視線の先でマークは魔導書を構えていた。詠唱が無くとも開かれたページの文字に従って彼の足下には魔方陣が浮かび上がりやがて自然発生した風が髪をローブを靡かせる。
「ただし。一つだけ忠告しておく」
先程と比べて激しく閃光が跳ねる最中マークはゆっくりと手を翳しながら。
「僕たちには絶対に勝てない」
──雷が放たれる。最初この場所を訪れた時と同じく屈曲しながら金色の束が容赦なく。迫り来るそれを見据えて閃光が跳ねた。
腕を打ち払うようにして腕を差し向ければ青い雷が鳴き声を上げて放出。それは前方の雷撃にまるで獣が喰らい付くような勢いで突撃すると両者共に譲らず激しい鬩ぎ合いを見せて──
「ッ、」
──恐ろしい爆発音が響いた。
地面が揺れるほどの衝撃さえあるのに司令塔に残された人間の誰一人としてこの事態に気付き駆けつける気配は微塵も窺えない。
それもそのはず──幽世の地下監獄と呼ばれるこの場所は地下二階とは一概に言っても、地上から約五十メートル近く深い場所にあるのだ。
「──!」
即ち。
「