第十一章
一気に放電──剣を通して僅かに感電したのか剣は主人の手を離れて弾き飛んだ。その隙を逃さず距離を詰めて先程と同じく手を重ねて翳し青い雷を放出する。がら空きであったシュルクの体は当然弾き飛ばされる形となるが休む間もなくマークの攻撃が襲いかかる。
突き、薙ぎ払い──どれも問題なく躱すことが出来たのは本来は剣士ではなく後方支援を主とする軍師であるからだろう。とはいえ才能皆無とまで甘い話があるわけでなく此方の状態を目視で見切り痛い箇所を確実に突いてくる。
「っ……!」
剣先が頬を掠めた。
「往生際の悪い」
次の横薙ぎを大きく後方に跳んで躱し滲む赤を拭い去る。
「気付いていないのかい?」
マークは剣を打ち払う。
「あの手紙はロックが書いたものだよ」
くっと眉を顰める。
「僕たちの偽装じゃない──フォーエス部隊を代表とする彼が自分の意思で筆を取ったんだ」
その言葉が何を意味するのか。
「……分かってるよ」
それでも。僕は。