第十一章
「……ふ」
満ちた沈黙を破るかのように。
「あはははは……ッ!」
ああ。
思い出す。思い知らされる。
己が信ずる正義を貫く為であれば振るう鉄槌に迷いはなくどんな犠牲も厭わない。
それが、例え。
絆を誓った仲間だったとしても。
「正解だよ! ルーティ!」
一頻り笑った後でシュルクは声を上げた。
「けど──妙だな。君ならもっと深く絶望してその顔を苦痛に歪めていそうなものなのに」
ふっと笑みを失せてマークが呟く。
「まあいいか」
閃光──彼が左手に所持していた黄色い表紙の魔導書が開かれた。風に煽られたわけでもないのにぱらぱらと紙は捲られて、程なくひとつのページを指し示したのと同時に再び閃光は迸り彼の足下に金色の魔方陣が浮かび上がる。
「僕たちは役目を果たす」
傍ら。神剣は主人の意思の元、青白い光を放つビームを展開させて。
「──今度こそ譲らない」
護るべきものの為に振りかざされた正義を一体誰が否定できただろう。
「未来のために」
二人の青年は背中を合わせて剣を構える。
「死んでもらうよ。──ルーティ」