第十一章
姿形も声も何もかも。振る舞いを除けば瓜二つである組織──亜空軍を指揮する彼のマスターハンドが対ファイター用に造り出したという、偽物集団と名高い『ダークシャドウ』。
彼らを利用したならば。
今回の事件をでっち上げることだって。
「いい考察だね」
シュルクは小さく笑う。
「けど。メリットが見当たらないな」
「メリットなら」
静かに起こした手のひらを自身の胸に当てて。
「──ここに」
過去DX部隊に所属していたメンバーにあらぬ罪をなすりつけることで信頼を失わせ絆を断ち切りチームを分断させる。
そうして引き入れたチームを心のケアと偽って警戒を解かせている隙に本命である自分を誘い出して命を奪う──問い詰められたところで、理由などいくらでもつくのだ。
全ては。
この世界の未来のために。
──彼らの謳う"正義"のために。