第十一章
「──ッッ!」
次の瞬間だった。
バチバチと激しい音を立てて屈曲しながら迫り来る金色の束に気付いて飛び退く。堅いコンクリートの地面を容赦なく砕くそれは紛れもない意図的に向けられた攻撃そのもので。
「へぇ。今の攻撃を躱すとはね」
声が聞こえてくる。
「まるで初めから分かっていたかのようだ」
靴音。
「やっぱり」
暗闇の先から現れるその正体に。
「生きていたんだね」
ルーティは苦しげに眉を顰めて呟く。
「──マーク。……シュルク」
有り得るはずもなかった。何故なら彼らは先日確かに──それもX部隊メンバーの手によって殺されてしまっていたのだから。
「……ふふ」
けれど。
その声も姿も。
"彼ら本人以外に有り得ない"。
「何故、分かったんだい?」
マークは笑みを湛えて訊ねる。
「単純なことだよ」
対してルーティは顔を顰めたまま。
「あの時、殺されたのは」
緩く拳を握り締めて答える。
「……ダークシャドウだったんだから」