第十一章
かつん、かつん。
どのくらい歩いただろう。牢獄地帯を過ぎれば辺りはまた静寂と暗闇に包まれた。話し相手も居ないのでは次に口を開く頃には言葉を忘れてしまっていそうだな、などと要らぬ心配を胸に抱えながら漸くのこと辿り着く。
「……、」
ここまで歩いてきて鉢合わせることもなかったということは恐らくこの先に居るのだろう。
鉄で造られた両開きの扉がずんと佇む。長らく役目を忘れていたのであろうそれは要所要所が錆びついてしまっている。いつまでもこの場に立ち尽くしてもいられないので小さく息を吐き出して意を決する。向き合おう。
この先で。なにが待ち構えていても。
──扉を開いた先で迎えたのはただ広いとしか感想の持ちようがない大きなホールだった。今まで歩いてきた通路と異なるのは申し訳程度に照らし出す照明が壁に沿って設置されているといった点か。それでも電気を切らせていたり、今にも尽きそうに点滅しているものもあって此方も変わらず管理が行き届いていない──
「、?」
視線を感じた。
「……ロックマン?」
先の見えない暗闇に声を投げかける。
ゆっくりと進み出てみれば今更扉は大きな音を立てて閉じられた。思わぬ不意打ちにここでもやはり体を跳ねて振り向いたがゆっくりと息を吐き出して正面に向き直る。