第十一章



天空大都市レイアーゼ。中心部に聳え立つ白い巨塔──中央司令塔は数あるどの建物より高くこれまでもこれからも正義と秩序の維持を図るべく其処に変わらず在り続ける。

悪なる穢れは打ち滅ぼす。

未来のために。世界のために。


正義は高らかに謳い続ける。


であれば。

人目の行き届かない"地下"には?


「、……」

エレベーターが止まる。

『間もなく。地下二階へ到達します。搭乗員はガスマスクの確認を行なってください』

無機質な録音放送が流れる。

『移動を再開します』

ゆっくりと降下して程なく辿り着く。

『到着しました』


地位や権力、証拠不十分など。

容易に正義の鉄槌を下せない大きな罪を抱えた人間たちが収容される。

だがその場所は罪を償う施設に非ず。どんなに叫んでも嘆いても己の声が届くことはなく。

死に等しく。

残酷に命を繋ぎ止められる。


此処はレイアーゼ中央司令塔の地下二階。

──幽世の地下監獄。
 
 
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