第十一章
「……そうか」
どうやら上手く誤魔化せたらしい。張っていた警戒が解けた様子を目に密かに息をつく。
「う、ウルフは何してたの?」
「気にかけている暇があったらさっさと連絡を済ませてきたらどうだ」
正論で返されてはぐうの音も出ない。
「そうしようかな」
苦笑いを浮かべてそそくさと。
「──ルーティ」
かと思えば。
「嘘は吐いていないだろうな」
まるで。
水を打ったかのような静寂が寸刻。
「やだなぁ」
苦笑いにも似た笑みを浮かべて振り返る。
「嘘なんかつかないよ」
今度も。
上手く誤魔化せただろうか。
「じゃあ行ってくるね」
これ以上は悟られまいと背中を向けて。
歩く最中も視線を感じた。けれど最後まで振り返らずに程なくエレベーター前に辿り着く。
深呼吸。呼び出しに応じて扉が開く。
さあ。行こう。
ロックマンの待つ──司令塔の地下二階へ。