第十一章
……やれやれ。
完全に部屋に戻るまでちらちらと此方を何度も振り返っては確認する彼女をようやく見送って小さく息を洩らし自分も部屋に入る。
部屋の電気は点いていない。どうやらあの人も出掛けているらしい。散々フラグを乱立されてしまった後なばかりに拍子抜けだが扉を開けた途端に仕掛けられてしまうよりは。
「勝手にシャワー借りてもいいのかな……」
などと独り言を零しながらデスクのある部屋を過ぎて隣の寝室へ向かう。そういえば着替える服も無かったな。ここはやはり、ロックマンが戻るまで適当に暇を潰している方が賢明か。
部屋には確か本棚があった筈などと考えながら扉を開いて電気を点けると、真っ先にある物が視界に入った。ベッドの真ん中にぽつりと取り残されたかのように置かれていたそれは、一瞬あの人の忘れ物かとも思ったが。
白い手紙。拾い上げて裏返し宛てられた名前にはっと小さく目を開いた。
「……これって」
ロックマンから僕に?
不審に思いながらも封を開けて紙を取り出すと彼らしい長い文章が自分を迎えた。馬鹿であれ読み易くあるようにといった配慮なのか綺麗に文字が並べられていたが。この手紙の内容を、簡潔的に説明するのだとすれば。
話したいことがある。
独りで。司令塔の地下二階まで来てほしい。
「……ロックマン」