第二章-前編-



エックス邸。

総勢四十二名――X部隊の拠点となる此処は、様々な設備を整えた巨大な屋敷。X部隊の戦士たちは独自のパートナー制度によって組まれたパートナーと部屋を共有し、依頼を受けながら上からの任務に備えて生活している。

屋敷は石造りの塀に囲われており、目の前の両開きの鉄製の門を潜れば、広々とした中庭が迎える。それが此処。朝は剣士たちが稽古の為に地を踏み、昼は夕方まで子供たちが無邪気な声を上げて駆け回る。角に生えた木の木陰では誰かが昼寝をしたり、読書をしたりと小さな憩いの場となっていて。


ただの拠点じゃない。

此処は、彼らの絆を結ぶ場所。


「……ん」

門は早朝には開け放される。

雨に濡れて錆び付いたそれはひと度押せば、ギィ、と唸り声を上げる。

……気付いて、カービィは顔を上げた。
 
 
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