第十一章
エレベーターの扉が開く。
「えー!」
人の体より先に飛び出してきたのは不服な声。
「気にしなくていいのにぃー」
食堂を後にしたルーティが部屋に戻るべくエレベーターへ向かっていたその時偶然鉢合わせたのはアルフェイン兄妹の末妹ローナだった。
「だってその方が安心でしょ?」
先程から彼女がしつこく提案しているのは自分たちの部屋に来ないかという話で。
どうやら抗議の結果彼女たちだけは四人同室で部屋を貸し出されたらしいが一体どんな意見を持って言い負かせたのやら。苦笑いを浮かべたレッドの顔が容易に浮かぶのが切ない。
「気持ちは有り難いけど」
ずいと詰め寄るローナを相手にルーティは少し身を引きながらどうどうと両手を軽く挙げて。
「ロックマンのことは信用してるから」
身の安全を第一に考えるなら名案だがそれではせっかく宛てられた彼の良心さえも蔑ろにしてしまう。人の心が読める目を持っているわけでなければ未来だって分からない。
だからこそ。
ちゃんと話したいんだ。
そして知りたい。
──彼らの抱えてきた全てを。