第十一章
ルキナは静かに視線を上げた。
「でも」
何か言うより先に遮る。
「本気でそんなこと言っちゃったら、多分皆に怒られちゃうかな」
あはは、と苦笑いを浮かべて。
「……だから。僕は最善を選ぶよ。僕も、他の誰も傷付かなくてもいい方法で未来を変える」
僕は。絶対に。
「そうですか」
ぽつりと呟いたルキナに。
「分かりました」
ルーティはそろそろと顔を上げる。
「──それなら安心ですね」
浮かべた笑みに。
言葉に。
どんな意図があったんだろう。
「では。私はこれで失礼しますね」
いつの間に食事を終えていたのやら席を立ってしまう彼女にルーティはえっ? と思わず声を上げそうになった。そんな彼の何も見透かしたかの如くルキナは悪戯っぽく笑いかけるのだ。
「うどん。伸びてしまいますよ」
……そういえば、そうだった。
思い出したように空腹は満たせてないぞと声を上げる腹の虫に一人取り残された席でずぞぞ、と麺を啜る。すっかり冷めきったうどんは食べやすくはあったのだが特別旨いはずもなく。
「……やっぱり」
ルーティは小さく息を吐き出す。
「リンクやゼルダが作った方が美味しいなぁ」