第十一章
何だろう。
言い知れぬ違和感がずっと付き纏ってくる。
ロックマンを頼りに歩いているその間聞こえてくるのは足音のみでそれが静寂の中余計に反響して聞こえた。話し声が聞こえない。
いや。それどころか。
人の気配すら窺えないというか──
「ルーティ」
はっと気付いたその時には既に彼の部屋に案内されていたようだった。寝室。ベッドとクローゼットの他に目ぼしいものは見当たらない。奥に窺える扉は脱衣所へ続いているらしく遅れて扉が閉まるのを驚いて振り返った。
「どうかしたのかい」
ずっと心臓がどきどきしてる。
「そ、その」
そんなつもりもないのについぎこちない笑みを作ってしまう。
「いつもこんなに静かなのかなって」
「連日の不幸で息が詰まっているのさ」
しまった。無神経なことを言ってしまったと慌てて口を手で触れたがその行動さえ余計だったかのように思える。気まずい空気に目を逸らす中彼はその事には気にも掛けない様子で。
「君も大変だっただろう」