第十一章
雨空の下。高く聳え立つ白い巨塔。
フォーエス寮は四階にある。人数も少なくないので数回に分けて上がることにした。
「なんだか緊張するね」
ピチカが不安げに呟いて寄り添う。
そういえば。話には聞いていたものの寮に直接窺うのはこれが初めてである。しかし行き来の手段がこのエレベーターひとつだけというのは果たして如何なものか。今更問い質したところで当人らも慣れてしまっている頃だろうが。
「あ」
扉が開かれる。
「着いたみたいだね」
迎えたのは長い通路だった。左右に点々と扉が置かれているのは各隊員の部屋なのだろう。
「お早い決断で」
びく、と肩を跳ねる。
「ルーティ」
いつの間に居たんだろう。
「先に上がってきた者たちは順に部屋へご案内させていただいたよ」
そうしてロックマンは手を差し出す。
「さあ。……君の部屋へは俺がご案内しよう」