第十一章
その言葉も。今となっては誰も否定しない。
「……時間だな」
ウルフが呟くのをルーティは頷いた。
「じゃあ。行ってくるね」
あの時。
現れた少年はロックマンだった。
近過ぎるべきではない──その言葉が深く突き刺さったルーティは助言に従い、元DX部隊のメンバーとの距離を置くことを決意した。
その為にX部隊は分断されルーティ率いる新規組は今その足でロックマン達の待つ中央司令塔内部に在るフォーエス寮へと向かっている。
無論驚かないはずもなかった。何よりあのタイミングで彼が駆けつけ行く宛のない自分たちをすんなり自身の寮に招き入れるとは。
好機というべきか。
「……おにぃ」
気まずそうにピチカが声を掛けた。
「あ、あのさ。信用して……よかったのかな」
彼女のみに限らないがパートナーと離れることとなったその不安感は例え他の部隊に身を置く仲間といえど拭い去れないことだろう。
「大丈夫だよ」
ルーティは儚げに笑う。
「これが最後のチャンスだと思ってるから」