第十一章
◆第十一章『さようなら』
刻む。時計の針の音が煩わしい。
「ねぇ」
少女は不安げに訊いた。
「X部隊……解散しちゃうの?」
眉尻を下げるピチカにリムは困ったような顔をした。そんなはずはないのだがこんな状況ではどうしても可能性を否定しきれない。
「んなわけないだろ」
代わりに答えたのはネスだった。
「正式な申請が通されたわけでもないのに」
その解答は全く見当違いのものだったが。
「物騒なこと言うもんやないで」
「──兄ちゃんは」
ディディーが不安そうな視線を向ける。
「違うよな」
その言葉に秘められた意味は。
「……せやなぁ」
エントランスホール。その場所で向き合うのはフォックスを筆頭に過去活動のある元DX部隊のメンバーと、X部隊からこの特殊防衛部隊に新しく配属されたメンバーだった。
「忘れ物はないですかぁ?」
「僕たちとしてはあった方が嬉しいんだけど」
冗談交じりに口々にヨッシーとルイージが言うがその反応は打って変わって辛辣なもので。
「あってたまるかよ」
ワリオは躊躇なく吐き捨てる。
「戻ったら殺されるかも分からないってのに」