第十章
重い足取りで外に出れば既に他の四人が揃って待っている様子だった。先日の一件でマルスとアイクは見えない溝が出来ている様子だったが今日ばかりは構ってやれない。
「寝坊ですか?」
訊ねるリンクにちらりと視線だけ送って。
「揃ったな」
メタナイトが口を開く。
「先ずはランニングから始めるぞ」
そうしていつも通り先導するメタナイトを追うように残りの四人が走り出す。気分は重いままではあるが呼吸が乱れれば余計に疲労する。
何より、考えすぎかもしれないのに。
「どうかしましたか?」
後ろを走るリンクがこっそりと訊ねた。
「……別に」
それだというのに心に余裕がないためかロイは素っ気なく返してしまう。
当然のことそれ以上の会話の展開など見込めず裏庭に差し掛かった。屋敷が作り出す影に足を踏み入れればそこが半周の目印で。
……影。
本当に何気なくといったものだった。
走る速度を次第に緩めていき立ち止まる。
「ロイ?」
ゆっくりと。恐る恐ると。
……視線を上げた。