第十章
早朝。ぱちりと目を覚まして身を起こす。
「はぁ……」
目覚めの悪い朝だった。部隊絡みの事件続きで何処もかしこも空気が重苦しい。毎日変わらず剣を振ってるつもりでも守る為に振るうそれが要らぬ警戒の目を向けられている気がして。
「……?」
赤い髪を掻き上げて気付く。
パートナーが部屋の何処にも居ないことに。
「ピット」
思わず名前を呼んだ。
どたどたと屋敷の中を慌ただしく駆ける。急ぎ開いた扉の奥に求めたその影は見当たらない。
「ロイ!」
朝も早いというのに今度の話を耳に飛び起きて共に探し回ってくれたカービィが誰も連れずに駆けてくるのを焦りを募らせながら。
「見つかったか?」
「何処にもいない」
「っ……」
どうしてだろう。
こんなに嫌な予感がするなんて。
「後はもう外くらいしか」
心臓が落ち着かなくて吐き気がする。
「ロイ」
カービィは励ますように顔を覗き込んで。
「外で異変があれば今頃リンクやメタナイトが僕たちを呼びにくるよ。何もないってことは、そういうことなんだし外に出よう?」