第十章
まずいな、と率直に思った。
食堂が静かすぎる──ただそれだけのことなのかもしれないがそうではないのだ。
向けられるべきではない警戒心が充満して。
「あ」
静寂を打つ金属音。床を跳ねて転がるのは何てことはないただのスプーンだった。側を通りがかったピチカが横切る際にヨッシーの体を軽く触れてしまったのである。
「あらら」
対するヨッシーは目を丸くして。
「ごめんなさい!」
慌ててしゃがみ込み拾い上げるピチカ。
「あ、新しいの持ってくるから」
「大丈夫ですよぉ」
「でもっ」
「三秒ルールです」
はにかんで人差し指を立てる。
「それ、一秒じゃない?」
「ああっと僕としたことが」
なんてやり取りを交わすもピチカは目もくれず最後まで落ち着かない様子で頭を下げると走り去っていってしまった。
「、相手は子供だけどさぁ」
カービィはテーブルに頬杖をついて呟く。
「なぁんか。やな感じ──」