第十章
現場には未だ警察が残っているというのに。
声を上げるパックマンとそれに釣られて集まる視線にじわりと焦りの滲むネロだったが余計に刺激するであろう感情は呑み込んで。
「ッ……超能力を扱える奴なら誰にでも出来る」
「往生際が悪いなぁ」
「そもそも。こいつには動機がない」
パックマンはししっと笑った。
「だったらさぁ。本人に直接聞いてみなよ」
妙に自信有りげに振る舞う彼にネロは不審感を抱きつつ顔を顰めながら振り返った。
「ユウ」
本人が否定すればそれで済むはずだった。いや少なくとも状況を緩和させることが。
……それなのに。
「おい」
どうしてこいつは黙っている──?
「ほらね」
いくら口を噤んだところで寧ろ不利になるだけだというのにひと言も語ろうとしない。よって肩を竦めるパックマンにネロは舌打ちをして。
「リオン」
呼ぶ。
「お前の能力でこいつの中覗け」