第十章



「あのさぁ──何ヘラヘラしてんの?」

皆までとはいかないがぎくりと肩を跳ねた。

「こっちの隊員二人も殺しておいてさぁ」

靴音を鳴らせて。注目を送った先にはミカゲとパックマンの姿があった。

彼が睨みをきかせるのも無理もない。マークに続くようにして今度の被害者となったのは同じフォーエス部隊のシュルクである。

その人物しか持ち得ない何かが決定的な証拠として現場に残されていた話ではないが今回は非常に悪いタイミングで現場に居合わせている。何せ今度の任務でこのレイアーゼ都立図書館の警備を任されていた人物は折悪しくもリオンとユウの"二人だけ"だったのだ。

「言い逃れできるとでも思ってる?」

パックマンは煽るように前のめりの姿勢で。

「夜間閉ざされた図書館には依頼を受けたお前たち二人だけ。シュルクは確かに数時間前までパックマン達の寮に居た。ところが今この有り様で遺体は引き摺られてきた痕跡もない。だとすれば考えられる可能性はひとつ」

きっと鋭く睨みつけて。

「ユウ・ブラン。お前がお得意の超能力を駆使してあいつをこの図書館まで連れ出し殺した。それ以外に考えられないんだよ──!」
 
 
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