第十章
……それから。
屋敷に帰り着くまで終始無言だった。
「おかえりなさい!」
戻るや否や。ぱあっと表情を明るく出迎えたピチカに彼女自身はいつもの調子でもルーティは曖昧に笑うことでしか返せない。
「うん……ただいま」
揉み消したでは流石に聞こえが悪いが大々的にニュースに取り上げられるなどといった最悪の事態には及んでいないようだ。でなければ──子供達がマルス含む剣士達の側まで駆け寄っていくこともないだろう。
「戻ったのか」
と。迎えたのは子供達だけでなく。
「アイク」
何となく珍しくてルーティは目を丸くした。
「話は聞いている」
そう言って。彼がゆっくりと視線を向けたその先には案の定マルスの姿があった。
「とりあえず部屋で休ませてよ」
カービィがその先を言わせまいとそれとなしに気を利かせたが虚しく。
「……マルス」
普段より重苦しく感じる声音で。
「昨日は何処に行っていた?」