第一章
首元のネクタイを緩めつつ窓を開く。
外は、夜だった。紺碧の海が逆さになって何処までも広がり、まるで宝石のような星々を幾つも散りばめる……そんな美しい夜。
「……、」
小さく息を吐き出した。
ああして平然を装いながらも緊張していたのである。
「失礼します」
ノックの後にひと声かけて扉を開き、入ってきたのは銀髪の少女。
「……君か」
振り返る。
「いえ、私ではなくて」
疑問符を浮かべていると少女が横に退いたその後ろから男が現れ歩を進めた。
「……!」
「お前がこの部隊の隊長か」
開け放たれた窓からひんやりとした風が舞い込む。
「……はい」
今度は自ら歩を進めて距離を詰め、視線を返し手を差し出した。
「あなたを歓迎します」
口元に笑み。
「……クレシス管理下」