第十章
違和感。あれは小さな火傷の跡だった。
死因との直接的な関係はないと見えるがそれにしたってどうして。偶然の産物と片付けるにはいくら何でも腑に落ちない。
「、カービィ」
足先から静かに地上に降り立つ。ちらりと時計塔を見上げればマークの遺体はもう既に天使と女神が回収した後だった。姿形があれなだけにまるで天国へ導かれたかのようだな。
「なに」
「どうだっ、」
「どうして殺したんですか!」
びりびりと叫ぶ声が響いた。
「落ち着いてください」
リンクが宥める。
「血の繋がった兄が死んだというのに」
ぼろぼろと涙をこぼすのは。
「殺されたというのに!」
マークの双子の妹である少女ルフレだった。
「そうと決まったわけでは──」
「遺体には一振りの剣が突き刺さっていた」
遮るように語り出したのはロックマン。
「ファルシオンは伝説の聖剣。その主人はアリティア国を治める王子ただひとりと聞く」
そうして向けられた視線の先でマルスはびくっと肩を震わせた。ちがう、と小さく口を動かしたがくしゃりと己の髪を掴んでただひたすらに泣きじゃくるルフレに彼の声は届かない。