第十章



とんと地面を蹴って浮上。そして上昇。あっという間に時計盤付近まで飛んでいきまるで磔刑のように晒されたマークの側まで接近する。

……死んでるな。

希望は打ち砕かれたがそれでも地上の彼ほどの大きなダメージは無かった。可哀想に、と内心哀れみながら彼を突き刺した剣を見遣る。

「……!」

この形状は。……ファルシオン?

我が目を疑いながら触れるのを躊躇う。ほんの少し悩んでこの件については地上に降りてから話に持ち出すことにした。続け様フードに手を伸ばしてほんの少しだけ捲る。

白髪の髪が肌に掛かる。彼は元々色白だったが今はそれ以上に白く窺えた。あまり好き勝手に触れ回りたくはないが何か引っかかるものを覚えて額にかかった前髪を払い除けようとした。

──次の瞬間。

「っ、!」

既の所で首を逸らして矢を躱す。

「……先輩に対する礼儀じゃないね」

苦笑いを浮かべたカービィの視線の先には。

「そいつから離れろ」

漆黒の翼を羽ばたかせながら此方を睨みつけるブラックピットがそこにいた。怒りを滲ませた双眸の赤にやれやれと息をついて。

「仲間想いだね。感動的だこと」
「挑発と捉えてもいいんですよ」

振り返れば光の女神パルテナが見つめている。

「……冗談」

拭い去れない警戒心にぱっと手を引いてマークから距離を取ると。

「とりあえず下ろしてあげなよ。話はそれからいくらでも聞いてあげる。……いくらでもね」
 
 
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