第十章
煉瓦造りの時計塔。
がちりと音を立てて長い針が天辺を差す。
重苦しい鐘の音が鳴り響くその最中人々が注目するその時計盤の中央には。
揺れる、黒い影。
胸の中央に剣を突き立てられて。フードを深く被り首を垂れるマークの変わり果てた姿が──
「──マルス!」
真っ先に追いついたのはロイだった。
「ぁ、……あ……」
声を震わせて言葉にならないでいる彼の意思を読み取って見上げたロイもはっと息を呑む。
「な……んだよ、あれ……」
「し、ら……ない」
マルスは怯えた顔で頭を抱える。
「僕のせいだ……ッ!」
あの時送り出さなければ。細心の注意を払って保護していれば。こんなことには。
僕のせいで……僕のせいで、僕のせいで──!
「自分を追い詰めるのは辞めなよ」
聞こえてきた声にハッと顔を上げる。
「きっ君たち!」
「はいはい。僕たち特殊防衛部隊なんで」
カービィは警察に断りを入れると。
「とりあえず下ろしてくるよ。あれだって見世物は嫌だろうからね」