第十章



空気が違う。そう感じたのは食堂の扉を開いて直ぐのことだった。

幾つかの視線を受けたのだ。一瞬その場に立ち尽くしたが気を取り直して扉を離れる。朝食を得るべく奥の受取口まで向かうがその途中。

「おい」

声を掛けられた。

「、マリオ」

食事の手を止めて手招く彼に疑問符を浮かべて仕方なしに歩み寄る。

「お前……あの後マークはどうしたんだ」

そういえば。あれから数日ほど経っていたのですっかりと忘れていたがカービィ以外に詳しい事情は説明していなかったのである。

それをまさかこのタイミングで訊かれるものだとは思いもしなかったが。加えて弟のルイージがいる目の前で。拷問の末に此方が折れて解放したなど大きな声で言えるはずも。

「昨日の夜から行方が分からないんだって」


小さく目を開いた。


「……どういうことだい?」

口を挟んだルイージに食い付く。

「だからそれをお前に聞いてるんだろ」
「どうして僕がそんなこと、」
「──え」

がたん、と椅子を倒して立ち上がったのは。

「……ルーティ?」

連絡を受けたのであろう携帯を片手に。

「マーク、が」

酷く青ざめた顔で。

「……遺体で見つかった、って……」
 
 
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