第十章
刹那。砂煙を破り黒い影が飛び出す。
先頭のロックマンを標的にまっしぐら──かと思いきや目もくれず横切り正義の戦士達の間を縫うように突き進んでいく。程なくその双眸に目当ての人物を捉えたのかもう一度地面を強く蹴り出すと。──光、走らせて。
「……!」
甲高い音が鳴り響いた。
「くくっ」
その一撃を受け止めたルキナはにやりと笑みを浮かべる影に静かに目を開く。
「残念だったな? ガキじゃなくて」
褐色の肌。白銀の髪。
そこに居たのは先程まで姿を捉えていたはずのスピカではなくダークリンクだったのだ。
「っ……そういえば……貴方だけはオリジナル……でしたね……」
苦い表情を浮かべてギリギリと押し合いながら零した言葉の通り彼に限ってはマスターとクレイジーではなくガノンドロフの手によって生み出された謂わば純正の影だった。
他と同じく光の類いには弱いが純正というだけあって幾らか耐性がある。とはいえ本来は誰もその細かな点で見分けが付くはずもなく多くは見落とされがち。であればと先読んで今回タイミングを見計らいこの場に飛び込んだのだ。
「おっかしいねぇ」
ダークリンクはくっくっと笑って。
「……なんで"オリジナルだと分かった"?」