第十章



──ぎくりとした。

だってこれは。今更忘れるはずもない。


悪夢に捕らうあの赤い目は──!


「ッ全員、」

気付いた時にはもう。

「逃しはしない」

空に地上も陰るほどの巨大な魔方陣が現れた。はっと見上げたが次の瞬間には純白の光が魔方陣をなぞるようにして迸り──そして。


まるで天の裁きであるかのように。

光の群れが降り注ぐ。


「ああぁああああッ!」


声を上げたのはダークシャドウだった。

姿形こそ人間なれどその正体は影である彼らにとって光とは熱を持った毒そのもの。肌の表面を焼き溶かすような感覚に耐えられない。

一方でその一切の影響を受けないスピカは一転した立場に絶望する。もがき苦しむ仲間たちを守る術などあるはずもなく。

「やめろ!」

訴えるしかない。

「何が目的なんだ!」
「可笑しなことを言う」

ロックマンは平然として首を傾ける。

「正義が悪を裁くのは当然の行ないだろう?」
 
 
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